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花屋STUCKⅡ

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早朝、三日月姫と一ヶ月ぶりの再会を果たした私は、食うものもとりあえず撮影現場を目指した。前日より、昼には帰りたいという彼女の条件は当日も揺ぎなく、なんとしても昼までに彼女のスタックを撮らねばならぬ緊張感から、私はちょっとお腹が痛くなってきた。しかし私にはトイレに駆け込む時間さえ許されていないのであった。途中立ち寄ったコンビニで買ったオニギリを車内で口に押し込みながら、忙しく本日の撮影手順をおさらいしていると、コンビニの中で姿を消した三日月姫が、清々しい表情で車に戻ってきた。
「姫、何をしておいでです!時間がございませんゾ!」
「すいません・・」苦々しく笑みを浮かべる姫である。
「ウ〇コしてました」
私は女性がウ〇コと言っているのを始めて聞いた。そこで上品な私はウ〇コの丁寧語を模索してみた。おそらく、おクソであろう。

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「おぉ、姫。今回は、まさに私が思い描くノーマルブーツですね」
なんと三日月姫はこの日、もうひとつブーツを持参してきてくれていた。ブーティーという妙な名前である。これで二通りのPPが撮れるのでは、という監督思いの素晴らしい配慮である。姫の気遣いに感謝しつつ、やはり気になるのはブーツの中であった。いったいどんなソックスを履いておられるのだろう。

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「God Damn!なんだ姫、つま先はどうした!?白鳥の湖でも踊ったのかい!!」
なんと姫のブーツの中は、つま先とかかとのない奇妙なものであった。
「これはトレンカというタイツですから・・・」
「・・困るよ、私はつま先が覆われていないと、まぁ、どうでもいい話ではある。私は特にソックスフェチという訳でもないのだからっ!」
「でもブーツに靴下は似合いませんよ」
「私が許せないのは、つま先部分のファンタジーが軽視されている事だ!!いいかい?私は何も靴下でアクセルを踏んで欲しい訳ではない。見たくもないさっ!」

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「一応、靴下も持ってきました。ほら」
三日月はバックからシマシマのソックスを取り出した。私は彼女に懺悔したい気持ちであった。三日月は私を裏切らない。私はシマシマが大好きだが、姫を動揺させてはならない。
「余計なことをっ!光よりも早く履くんだ」
「でも約束してください。靴下の裏は映さないって。・・恥ずかしいんです、汚れてるから」
「もちろんだよ姫。前回は確かに君の薄汚れた靴下の裏を撮り、発売した」
「発売したんですか!?・・ウソ」
「違う違う。落ち着くんだ。私もお客様方も靴下の裏には興味がない。ただ、私が個人的にカメラのホワイトバランスの調整に使用しただけで、そりゃぁアナタ、人様に披露する訳ないでしょう・・戯れをおっしゃってはいけなくなくない?」
「じゃ、今回は撮らないんですね?」
「いやいや、カメラのホワイトバランスを調整しなきゃ、繰り返しの視聴に耐え得る動画は撮れない。分ってくれ、私は靴下が嫌いだ!」
「・・分りました」

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無事に姫のソックスが確認できた私は、とりあえず前回と同じ場所で、同様のバックスタックをお願いした。前々日の雨でまだ湿気を含んだ地面は埃も立たず、前回よりも実にスマートなスタックであった。もう一回、もう一回、とブーツパンピングによるスタックは順調な滑り出しである。今日は快晴だし、良い予感がする。

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ブーツによるPPは、実に艶かしい。ワオンっ!ワオンっ!と、ダイハツの軽独特の軽快なエンジン音が青空に響く。この狂ったような高い音は、ヌカルミから抜け出そうと焦る女子を想像させ、私は母の胎内に戻ったような心地よさに酔いしれた。

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これは綺麗な空転であった。私がOKを出すまでアクセルを踏み続ける姫。私はOKを出したくなかった。できれば一時間くらい眺めていたい、素晴らしい光景である。
「Shit・・」
ファインダーを覗く私の口から、とうとう感嘆の呻きが漏れた。私にShitと言わせるとは、やはりこの姫はただ者ではない。

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さて、前回は希薄であった花屋たり得るシーンも大切に撮影したい。映画ならともかく、スタック動画における物語は確実かつあっさりとしているのが好ましい。スタックさせているのは花屋である。これが私には重要なのである。

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「その花を花屋っぽく取るんだ!」
「茎が太くて無理です」
「じゃ、もう花を匂うだけにしよう!クンクンOK!?」
「メッチャ、テキトーじゃん!」
そう、実は花屋という設定はこの時、私の胸中でほのかに崩壊しつつあったのかも知れない。いざ現場に立つと、スタック以外興味がなくなる自分を不甲斐なく思う。

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「Oh! Come On!ブーツの中からピエロがでてきたぁー!」
そう、私の領域、ソックスペダルパンピングはかようにして始まった。ブーツの質感をまるで無視したカラフルなシマシマソックスを目の当たりにし、私は神はいらっしゃると感じた。これは美しい・・・。

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「さぁ姫、前回同様、正面の草むらに突っ込むのです」

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「姫がとんだぁーっ!!誰がそこまでヤレと言った!!」

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キュィーンという音が、今回もピカイチ!
・・というか、大丈夫か姫。君、さっき飛んだぜ!!

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ブーツ脱いで、5m進んでまたブーツ履いて車外に出ます・・。編集中にようやく気付いた奇妙なシーンですが、これは申し訳ございません。何度観てもホント変です。それもあるし、左下に私も映ってしまってます。これはNGで、本編ではちゃんと取り直した映像を入れております。

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姫、また近くを徘徊。車に乗った意味がなーい!
実はこの時、花屋にするか写真家にするかと、三日月と話し合いながら撮影を続けていた。しかし結局、三日月姫は今回まで花屋であるべきだという根拠の無い考えで、花屋のような写真家のような、曖昧な立ち位置で彼女がふらふらと演じる事となってしまった事を、私は監督として申し訳なく思います。

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わぉ。先程のスタックでタイヤの下に生えていた草が消滅・・。

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この後、奥へ車を進めて砂利スリップを撮る予定であったが、戦車やら装甲車やら、銃を持って草むらに潜む大勢の兵士さん達に遭遇・・。そう、ここはそんな場所ゆえ、背中に時折銃声を聞きながら(我々を撃ってる訳ではなく、彼らは単に演習中なのである)三日月と震えながら他のロケ地へ向かった。これは私が日曜は演習が無いと思い込んでいたまったくの誤算である。しかし、このおかげで私はこの後、三日月姫の素晴らしいスリップシーンを撮影することになるのである。

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数時間かけて次の現場付近に到着。
「さぁ姫。花を探して練り歩くのです」
「監督は・・?」
「私は煙草を吸います。さっきは怖かったですね」
「えぇ、撃たれるかと思いました」

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ぬかるんでないし、もうスタックは撮れないだろう。思い切りアクセルを踏め。絶好の砂利ポイントを諦めざるを得なかった私は、やや失意の中、三日月に力なく告げた。三日月もそろそろタイムリミットだ。もぅ帰ろうかなぁ・・。
ガーーーーーーっ!!!
期待はしていなかったので驚いた。こんなに派手なスリップ発進は見た事がない。
・・まだイケる!!

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続いて落ち葉スリップ、これも仰天であった。私はテリオスをすっかり見直した。
「監督、私帰る時間です」
「・・・どこに帰るんだ。月かっ!!」
「約束があるんです・・」
「今神が降りてきている。今だゼ姫!いったいこんな大事な時にどこへ何しに帰るんだ」
「脱毛の予約取ってあるんです。今日は12回目の最終日だから・・」
「帰るんじゃない!」
そう、私は姫を帰さなかった。

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この草上スリップが曲者であった。何度やっても、カメラとは別のタイヤが空転するのである。「あ、左か」と左に回れば右後輪が空転し、「やっぱ右か」と右に回れば左が空転する。

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もぅ、ソックスは充分であろう。もうひとつのブーツとやらを履いていただくことになった。なんと姫は服も着替えると言い出した。二回分撮るという私の言葉を受け入れ、服まで二回分持ってきていた有り難い姫であるが、今回は見送った。もぅ充分である。

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硬い路面でもガリガリと、今日はよくキマる!

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これが姫の持ち寄った予備ブーツ[ブーティー]という代物らしい。そんな名前、始めて聞いた。

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「姫、最後にホワイトバランスを!」
「なんで撮影終わった後にやるんですか!」

閲覧、有難うございました。

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